全聾の天才作曲家と言われていた佐村河内守のゴーストライター問題が世間を賑わせていますね。
本当に作曲していた桐朋学園大非常勤講師の新垣隆さんが会見を開き、少しづつ騒動の真相が明らかになってきました。
会見の中では佐村河内守が作曲をしていなかったどころか、楽譜の読み書きが出来ないレベルの人物だったことも明るみになりました。
そして何より、耳が聴こえないというのは嘘だったということには衝撃を受けました。
佐村河内守本人からの釈明がまだない状況では確実性のあるはっきりとしたことは言えませんが、新垣隆さんが自身の職を辞してまで公表した内容は信ぴょう性があるのではないかと感じます。
佐村河内守は「現代のベートーベン」として世間からもてはやされていました。
耳が聴こえないにも関わらず、数十の音符が重なる壮大な協奏曲を創作できる才能に人々は惚れ込み、リリースしたCDも18万万も売れました。
このCDを買ったり、実際のコンサートを見にったりした多くの人々は単純に「協奏曲第一番 HIROSHIMA」を聞きたかった訳ではありません。
全聾である広島出身の被爆者2世の天才作曲家が苦悩の末に生み出した曲を聴きたいためにCDを買ったりコンサートに行ったりしたはずです。
ある意味、佐村河内守の人生というストーリーに対してお金を払って音楽を聴いていたはずです。
佐村河内守自身が公表していたプロフィールは
・4歳から母親にピアノの英才教育を受ける
・10歳の頃にはベートーベンやバッハを弾きこなす
・17歳の頃から聴覚障害が始まる
・35歳の頃に完全に聴力を失う
・光を受けると頭痛がするために常にサングラスを着用
・ピアノの猛練習のために腱鞘炎になり、手にはバンテージのようなものを巻いている
・杖を日頃から使用
・常に轟音のような耳鳴りがしている
・障害者2級
・絶対音感の持ち主
と健常者とは明らかに違う逆境の中で、天才的な音楽の才能を発揮して交響曲を作曲しているという人物を演じていました。
作曲者である新垣氏の告発により、作曲していなかったこと、譜面が書けないこと、全聾ではなかったことがほぼ明らかになりましたが、ここまで来ると他のプロフィールもどこまで正しいものなのかかなり怪しくなってきます。
自分の人生を丸々偽ってまで佐村河内守は何がしたかったのでしょうか。
彼は結婚していて妻がいます。
家族があるので、生活するためにお金を稼がなくてはいけないという切実な理由があったかもしれません。
しかしそれだけの理由でここまでのことをやるとは思えません。
普通に生活するだけだったら、普通に働けばいいだけですからね。
交響曲の作曲家としてお金をかけてCDをリリースしても必ず売れて儲かるという保証はどこにもありません。
私は過去に佐村河内守に密着取材をしたテレビ番組をたまたま見たことがあったのですが、今回の騒動があって改めてその動画をネットで探して見てみました。
常に轟音のような頭痛がしていて、光を避けるために家の中までも常に薄暗い状態。
そしてまさに産みの苦しみを感じているような姿。
これら全てが自身が演出したものなのかと思うと、驚嘆しますがここまでやるものなのかと感心すらしてしまいます。
きっと彼は人々に賞賛されたかったのではないでしょうか。
業界のトップになって、多くの人にすごいと思われたかったのではないでしょうか。
天才と言われたい、奇跡の人物と言われたい。
そういった他者からの評価を追い求めた結果がこうなってしまった一つの原因なのではないかと思います。
そうしたことで結果的にお金も付いて回ってくればそれに越したことはありません。
新垣隆さんも言っていますが、佐村河内守はセルフプロデュース能力に非常に長けた人物なのだと思います。
楽曲自体が評価されたはずの「交響曲第一番 HIROSHIMA」ですが、新垣隆さん名義でリリースしたとしてもあそこまでは売れることはなかったでしょう。
どうせ売れるとは思わなかった、とは新垣さんも言っています。
一つの商品を爆発的にヒットさせる能力は佐村河内守にはあったのです。
自分の全てを偽ることによってストーリーを作り出し、多くの人を欺くことによってですが。
私はこのニュースを見ていて、ネットビジネスにも似たようなものがあると感じていました。
ネットビジネスでは自分の顔や名前を出さなくてもビジネスが成立してしまうという特殊性があるために、今回の偽装に似た行為によって売上を上げることもやろうと思えば可能です。
投資さえすれば分業も非常にやりやすい業界なので、マーケティング能力に長けた人であれば自分の商品hがなくても十分にセールスを行い売上を立てることは出来ます。
しかし、ネットビジネスもリアルビジネスも詰まるところ、基本原理は同じです。
そういった詐欺師行為に近い形で売上を上げたネット起業家は駆逐されるべくして駆逐されていきます。
それはビジネスの基本概念である
「お客様に価値あるものを提供してその対価を頂く」
という考え方に反しているからです。
今回の佐村河内守の一件は、佐村河内守の人生のストーリーに対してお金を払っているお客様がいます。
全聾でなかったこと、彼の人生が嘘で固められたものであったこと、そして彼が作曲をしていなかったこと、
これらによってその価値のほとんどは崩壊してしまいます。
支払った分の価値が与えられなかったと感じてしまうのも仕方ないですね。
ネットビジネスでも、よく販売者のプロフィールや実績を見て判断したりしますが、こんなものは口八丁でいくらでも言えてしまうという事実があります。
しかしそういう嘘を付いている販売者というのは、人をだますことに躊躇しないような人種なので、他のところでも嘘を付く傾向があります。
お金をただ稼げればいいい、お客はただのリスト。
そう思って活動しているネット起業家もいることはいます。
そういった人のカモにならないように常に気をつけていなければいけません。
今はネットでの口コミが非常に早い段階で拡散します。
ちょっと怪しいなと思った人は名前で検索すれば噂は色々と出てきます。
そういう怪しい人はほんの一握りの人たちですから、ほとんどは真っ当な考えを持ってビジネスに取り組んでいます。
信頼に値する人かどうかを見極める一つの手段として、その人に対して直接メールを送ってやりとりを何度かするという方法も有効です。
数少ない悪意のネット起業家にだまされないようにしていきましょう。
佐村河内守のゴーストライター問題から見るネットビジネス
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